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もっと社会が補助犬に「ウェルカム!」になるアイデアとは?

出題者:橋爪智子さん日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長

障害がある方の生活をサポートする、補助犬。多くの当事者にとってかけがえのない存在ですが、まだまだ理解が広がっていなかったり、多くの誤解もされています。日本の補助犬を取り巻く環境や課題、今回の「問い」の背景を日本補助犬情報センターの橋爪さんに伺いました。

椅子に座ってマイクで話している橋爪さん、講演の様子

"日本人の女性が、NYでアニマルセラピー*を提供しているニュースを見て、衝撃が走りました"

−橋爪さんはなぜ、補助犬に関わるお仕事をされているのですか?

橋爪:私、大学卒業後にOLしてたんですよ。仕事が忙しくてストレスフルな日々を過ごしていたとき、あるニュースを目にしたんです。それが、日本人の女性がNYで、ホスピスで、自分の飼い犬と一緒にアニマルセラピー*を提供しているものだったんです。衝撃が走りました。

*アニマルセラピーの正式名称は「Animal Assisted Therapy (AAT)」日本語では「動物介在療法」

−ニュースがきっかけだったんですね。

橋爪:私は、生まれた時から、犬や猫に囲まれた生活をしていました。元々、獣医になりたかったんですよね。そのことを思い出して、OLをしながらボランティア活動を始めました。

−どんなボランティア活動ですか?

橋爪:当時京都に住んでいました。地元の獣医さんが精神科病棟や老人ホームで、アニマルセラピーの訪問活動をしていて、その活動のボランティアをしていました。それをきっかけに、アニマルセラピー・コーディネーターになりたいと思ったのですが。当時は日本で学べる機会が少なくて。海外に短期で学びに行ったり、東京での勉強会に参加したりしていました。

"身体障害者補助犬法ができたことによって、補助犬による身体障害者の自立と社会参加が法的に認められました"

−そうだったのですね。

橋爪:そして、25年前の東京の勉強会で、当団体の理事と出会いました。その後「来年(2002年)身体障害者補助犬法ができるんだ」というお話を伺って。「これからとても忙しくなるので、事務局をやってくれないないか?」と誘われて、日本補助犬情報センター(当時、日本介助犬アカデミー)の活動に参画しました。

−身体障害者補助犬法について教えてください。

橋爪:補助犬を障害者の社会参加のための選択肢のひとつとして捉え、その同伴によって社会参加を保障する法律です。この法律ができる前は、補助犬のお店などへの同伴の権利は認められていなかったんです。なので、補助犬ユーザーは社会に出るための大きなハンディを抱えていました。でも、法律ができたことによって、補助犬による身体障害者の自立と社会参加が法的に認められたんです。

補助犬が3匹、おとなしそうに座っている

−知らなかったです…。

橋爪:ちなみに、補助犬には盲導犬、聴導犬、介助犬の3種があります。盲導犬は視覚に障害のある方を、聴導犬は聴覚に障害のある方を、介助犬は手や足など身体に障害のある方をサポートしています。

"補助犬同伴を拒否するお店の方から「法律は知っているよ、でも義務で罰則はないでしょう」と言われることも多いです"

ユーザーさんと一緒に歩く聴導犬

−法律ができて20年以上経ちますが、変化はあったのでしょうか。

橋爪:法律が制定された当時は、「こんな法律ができるらしい」ということで、受け入れ側の企業や、店舗からの問い合わせは多かったですね。「受け入れないといけない」という気持ちの高まりがあったのは事実ですが、実際はまだまだ認知は低いです。そして、社会に受け入れ体制ができたかというと、課題も多いです。

−例えばどんな課題ですか。

橋爪:身体障害者補助犬法は、日本で障害者のアクセス権を認めた初めての法律ではありますが、欧米からは相当遅れていて罰則はないんですよね。なので、補助犬同伴を拒否する飲食店の店長さんからも「法律は知っているよ、でも義務で罰則はないでしょう」と言われることも多いです。

−なるほど。

橋爪:あとは補助犬への誤解も多いです。補助犬は適切なトレーニングを受けているうえ、適性も厳しくみているので、合格率は3割程度です。また、国家公安委員会や、厚生労働大臣が指定した法人で認定を受けています。それでも「吠えるんじゃないか」「お店の中で排泄しちゃうのではないか」などの不安はよく聞きます。

"排泄管理は、指示を出した時に指示を出したところにできます。これも補助犬ユーザーの方が、全部しっかり管理しているんです"

−補助犬についてどんなことを皆さんに知ってもらいたいですか。

橋爪:まず、犬は野生動物ではないんです。人間が家畜化してきたので、ワクチン接種で感染症が管理できます。補助犬は、衛生管理がしっかりできているので菌を撒き散らすことはありません。あとは、吠える・噛むという行動をしてしまう犬は適性なしとして、補助犬にはなれないんですよ*。

*参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000870083.pdf / https://www.mhlw.go.jp/content/000903303.pdf

車椅子ユーザーさんにペットボトルの水を運ぶ介助犬

−厳しい適性検査を通って初めて補助犬になれるんですね。

橋爪:他にも、排泄管理は小さい頃からの訓練で、指示を出した時に指示を出したところにできます。これも補助犬ユーザーの方が、全部しっかり管理しているんです。障害者の方もしっかりと補助犬のお世話をする、そういった覚悟と責任を持って生活をしています。そのうえで、社会に出ても入店拒否とかがあると、やはり悲しい気持ちになりますよね。

−本当に知らないことばかりです。

"もっともっと補助犬のことを知ってほしいですし、補助犬をきっかけに障害のある方のことも知ってほしいです"

橋爪:例えば、排出管理は「ワンツーワンツー」という指示を補助犬はしっかり理解しています。ワン=おしっこ、ツー=うんち。この掛け声があって初めて、排泄をするんです。ちなみに「ワンツーベルト」というものもあり、このベルトに袋を付けることで、盲導犬のトイレ機能にもなります。排泄物は凝固剤の入った袋の中で固まるので地面を汚すこともありません。

−そんなベルトもあるんですね。

橋爪:もっと補助犬のことを知ってほしいですし、補助犬をきっかけに障害のある方のことも知ってほしいです。実は、日本で補助犬と暮らしている障害者の方は多くはないんです。

−日本で補助犬は何頭くらいですか?

橋爪:日本の補助犬は全体で約1,000頭くらいですね。実はピーク時に比べると減少しているんです。理由はいくつかあるのですが、補助犬を増やしていくためには、社会がもっと補助犬に対してウェルカムな雰囲気になることが大切だと思っています。

−ウェルカムな雰囲気とはどんなことでしょうか。

橋爪:補助犬ユーザーが、「コーヒーを一杯飲みにお店に入りたいな」とか「体調が悪いので病院に行きたいな」と思っても、お店や病院で同伴を断られるケースはまだまだ多いです。でも、店員さんが「他のお客様に迷惑なので…」と断った時に「私は気にしませんよ!」と声をかけてくれた他のお客さんがいたというお話も聞きます。ウェエルカムな雰囲気をつくってくれる発言だなと思いました。障害者も、補助犬も、周囲の人も、お互いが気持ちよく過ごす方法を、社会全体で考えられたら嬉しいですよね。

後ろ足で立ち、前足を女性のユーザーさんに預けてコミュニケーションをとる補助犬

−周囲の方の言動、嬉しいですね。でも、犬アレルギーのある方の場合はどうでしょう。

橋爪:犬アレルギーの原因物質は、犬のフケと唾液なんです。みなさん犬の抜け毛を気にしますが、毛そのものが原因ではないんです。なので、満員電車で犬を飼っている人と密着する方がアレルギーが出るリスクは高いかもしれません*。

−そうなんですね。

橋爪:犬アレルギーで難しいのは、〇〇メートル近づいたらアレルギーが出ます!ということが明確にわからないこと。なので、例えばお店を利用するときに、お店の人が一言「近くに犬アレルギーの方がいらっしゃいますか」とか「盲導犬ユーザーさんをお連れして良いですか」と聞いてくださると嬉しいです。難しい場合には、もちろん座れる席が空くまで待ちますので。それがお互い気持ちよく過ごせることだと思います。

−コミュニケーション、大切ですね。

"補助犬との暮らしには生活に「ありがとう」という感謝の言葉がふえるんです"

布団で寝ている女性ユーザーさんの頭に前足をかけ、起こそうとしている補助犬

橋爪:私、厚生労働省の補助犬啓発ポスター*にある「キミと出会ってから『ありがとう』がふえた」というコンセプト大好きなんですよ。

−理由を教えてもらっても良いですか。

橋爪:私の友人たちの話を聞いていると、特に途中で障害がある生活になった人は、自分一人ではできないことがあるので「ごめんね」とか「すいません」という言葉が多くなってしまうんだけど、補助犬との暮らしには生活に「ありがとう」という感謝の言葉がふえるんだと話してくれたのが印象に残っています。必然的に笑顔もふえますよね。

−確かに!

橋爪:はい。私たちが一方的に「障害者のことを知ってほしい」「補助犬のことを知ってほしい」と思っていても、難しい部分があります。やはり、社会の中で一人一人が体感して自分ごと化してもらいたいです。そこで初めて、お互いが気持ちよく過ごすために必要なこともわかってきますし。社会の中で「ありがとう」が紡ぐ笑顔もふえるように思っています。

もっと社会が補助犬に「ウェルカム」になるために。この問いに関心のあるみなさま、たくさんのアイデアをお待ちしています。

日本補助犬情報センターのメンバー集合写真。30人ほどと、8匹ほどの補助犬


日本補助犬情報センター

https://www.jsdrc.jp/


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